対談|トップリーダーに聞く

HOME» 対談|トップリーダーに聞く »第6回 対談|松田 孝 氏

対談|トップリーダーに聞く

第6回 対談|松田 孝 氏

 
 
    対談|トップリーダーに聞く  
         
     
   
         
  松田 孝
合同会社MAZDA Incredible Lab
 | 代表
  荒木 泰晴
株式会社 エンベックスエデュケーション | 代表取締役
 
 
     
  ICTという新しい学びには、今までの方法じゃだめなんです。  
     
         
    小金井市立前原小学校の松田孝校長先生といえば、公立の小学校でICT教育をけん引していらした第一人者です。その取組みは、ICT教育の場からいつも注目されてきました。
2019年、フリーな立場を選択し、今回、ICTを活用した新しい学びについて、ア・ツ・ク語っていただきました!
   
         
すごいですよね、ICTでモラルや道徳の勉強までできちゃう
         
   

松田:教員になるために大学で教科教育法というのを必ず学ぶのですが、とても良くできているんです。戦後、敗戦から復興し、発展・繁栄の中、アナログの時代に、集団教育の中で磨き上げられたその内容と方法は、完成度が高く、簡潔性を持っています。
今もその教科教育法の中で授業が行われているので、ICTって必要ないんです。
 
わざわざ入れる必要がないところに、学習指導要領でICTを使って新しいことをやれっていうから、やってみるけど、うまく行かない。なんかずれている。
アナログ時代に考えられた完璧な教育法に、ICTをアドオンしてやろうとしても、余分なこと、余計なことになってしまう。
それは、端末が揃ってないからとか環境のせいでなく、たとえICT環境が100%整っていても変わらないと思うんです。
 
でも、それでいいんですか っていうことです。
 
前原小学校で、実際にICTを使った新しい学びを推進して、あらためてICTの活用は、子供たちの未来のために、絶対に必要不可欠だと感じました。
 
まずICTを使った授業から、子どもたちに多様な気づきが生まれました。
それをお互いがrespectして、その気づきと気づきをjointするのに、コミュニケーションが豊かになった。共同作業の中から信頼のリレーション、多様性を尊重できる場が生まれました。

荒木:すごいですね。

   
         
       
         
   

松田今までの教育は、先生が教えた以上のことは基本的に求めないし、そういうことをやるとやりすぎになる。
でも、ICTで子供たちに好きに楽しく経験させると、こちらが考えもしなかったことを発想してくれる。これこそが、新しい学び じゃないですか。
 
宝さがしというゲームをやったときです。校内に電波を発信している宝を置き、みんなでmicro bitを使って探すというゲームです。(*1)
ある時、一人の女の子が、これって他の人を邪魔するのにダミーの電波をmicro bitから発信できるって気づいちゃった。でも彼女、やらなかったんです。
彼女は、それはやってはいけないと判断したんです。
 
今の時代、ルールって全部後追いですよね。時代の方が先に走っていて、それをやばいと思って規制を作っていく。
そうだルールって自分たちが作るんだ、自分たちがお互いを尊重し合って共同作業をしていくためにどうしたらいいかを考えたとき、彼女の判断は、ダミーの電波は飛ばさないだった。
すごいですよね、ICTでモラルや道徳の勉強までできちゃう。

荒木: 「深~い」ですね。
ICTの活用から、そんなに深い気づきや学びがあるとは思いませんでした。子供たちの無限の可能性を感じます。

   
         
       
         
コンピュータって人間の機能を50億倍 拡張してくれるんですよ、
これは友達になるしかない。
         
   

松田学校って、子供たちの未来に責任を持つ教育をするところ、と これ みんな同意していますよね。
今の子供たちが活躍するのは20年後、小学4年生は10歳だから、社会の一線にいる時は30歳。
ある識者が、今の1年の進歩はデジタルで換算すると昔の200年分に相当していると言っていました。200年×20年=4000年、4000年先の未来にいる今の子供たちの時代は、絶対にコンピュータ共生時代じゃないですか。
コンピュータって人間の機能を50億倍 拡張してくれるんですよ、これは友達になるしかない。
友達になるためには、コミュニケーションをとる。その言語がプログラミング言語なんです。コンピュータの良いところは、あなた嫌いって、言わないんです。言語で話せば、全部 言うこと聞いてくれる、いい奴なんです。
コンピュータとコミュニケーションして、その豊かな表現から実現できる世界がある、そういう学びの場を広げていきたいのです!
 
ICT環境は、Wifiとノートパソコンがベストです。
今 流行りのタブレットでLTE通信はダメ。初期投資が楽なので、タブレットに流れますが、これからIoTの社会になった時に、デバイスはみんなWifi接続です。
この先 どんどん使い込んでいくのですから、大きな容量を扱えるWifiとノートパソコンをお勧めします。
 
ビジュアル言語(block)も、最初のさわり程度に使うので十分です。
前原小学校では、1・2年生のときにビジュアル言語を使いましたが、3年生からはテキスト言語で書かせていました。BasicからJava scriptを使っていました。
最終的に前原小学校では ichigojam(*2)を使ってBasic言語で制御させる方法が、一番効果を出しました。
ichigojamってすごいんですよ、ドローンを飛ばせるんです。

   
         
       
         
   

荒木本当に、公立でそこまでおやりになって、すごい!です。
 
今、小学校や中学校では社会にでた時のことを考えた勉強をしていると思います。
それが高校、大学になると何か目的がずれてきているような気がして・・・。
大学の先生がロボット専門だから、ロボットの制御ばかりやって卒業してくる学生。でも会社ですぐに使える知識になっていないから、そこでもう1回基礎教育をしなくちゃいけない。まさに今、我々がおこなっている研修が そこ です。
これからは、小学校や中学校で育んだ芽をもっと伸ばしていける、キャリア教育って必要だと思うんですよね。

   
         
ICTをベースにした新しい学び
         
       
         
   

松田:そうですね。キャリア教育って切実ですね。
今、学校って大変なんです。学校運営における大前提である、安全確保の領域がどんどん広がっている。今までは、車に気を付けて だけだったのが、災害や不審者、アレルギー、とまず 命 を守ることに注力しなくてはいけない。
次に人権尊重です。いじめや不登校、虐待や特別支援、多様な中でお互いを尊重していくコミュニティを作っていかなければいけない。
そして、一番大事な『学力の向上』、この真っ先に取り組まなくてはいけないこの課題に行きつくのが、大変なんです。
昭和・平成の画一的なアナログのフレームを打破して、ICTをベースにした新しい学びを導入しない限り、これは改善できないのです。
思いが一緒の校長はたくさんいます。それをうまく点と線でつないで、自分の知見を活かしながら、子供たちの未来をつくっていきたい!というのが、アツイ自分の思いです。

荒木:ヒートアップしているのが、よくわかります(笑)
でも、本当にこの先、まず社会に出たときに、例えば エンジニアでスタートするかしないかで、生涯賃金まで変わってくるのは歴然としています。
エンジニアだけにこだわるわけではありませんが、子供たち自身が自分の将来を考えられる教育になって行くことを強く望みます。
是非、がんばってください。

   
         
       
         
   

松田 孝 氏 プロフィール

東京学芸大学教育学部卒、上越教育大学大学院修士課程修了、東京都公立小学校教諭、指導主事、主任指導主事(狛江市教育委員会指導室長)を経て、2016年4月から小金井市立前原小学校に着任。2018年4月からは早稲田大学大学院教育学研究科博士後期課程にも在籍。
100年以上変わらない公立小学校の在り方に危機感を抱き、一人一台の情報端末の積極的活用によるクラウドコンピューティングによって、新たな「学び」のPerspectiveを描くことに尽力中。
3/31に退職し、4/1に合同会社MAZDA Incredible Labを設立。代表に就任。

2019年度 総務省「地域情報化アドバイザー」
金沢市「プログラミング教育ディレクター」
小金井市「教育CIO補佐官亅

 

*1:宝さがし
https://www.kikoku-benricho.com/micro-bit/
*2:ichigojam
https://ichigojam.net/about.html

   
         

この記事が気に入ったら
いいね!お願いします!